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2008年5月17日 (土)

病室にて

もぐ太はちょうど、うとうと昼寝をしている。
ここは重症患者のための個室。ナースステーションのすぐ近くだが
広い部屋なので日記くらいは書ける。

手術後は幻覚妄想が出て、大声をあげたらしい。
あの世へ行く前なら美しい花畑でも見るのかもしれないが
現世にとどまるつもりのもぐ太が見たのは、悪いやつらに金を脅し取られるという、いかにもみみっちい物語。いいではないか。
今でも「幻聴さん」は四六時中現れ、ふつうの会話をしていたかと思えば
次の瞬間には、ふっとまがまがしい物語の世界に入ってしまう。

まだ熱があるせいだろうと楽観しているが
退院しても幻覚が残るようだと、家で留守番などさせられない事態となる。

この病気に限っては、いわゆる闘病記が極端に少ない。
脳外科医でありながら腫瘍を抱えてしまった岩田医師の本が唯一といえるほどだが、これも手術待ちの間に読んでしまった。
意識清明でいられる時間はもとより、命そのものが短すぎるために、闘病記が成立しないのだろう。

こういうときは感情に訴えない書物のほうが助かる。
岩波新書が自宅にたまっているので、軽そうなものを適当に持参する。
内田隆三『ベースボールの夢』は前半が興味深かった。
今日は譚璐美・劉傑『新華僑 老華僑』文春新書を読む。

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